ATR(Average True Range、アベレージ・トゥルー・レンジ)は、1978年にテクニカルアナリストのJ. Welles Wilder(ジョン・ウェルズ・ワイルダー)によって発案されました。
彼は著書『New Concepts in Technical Trading Systems』でATRを紹介し、その後、多くのトレーダーに利用されるようになりました。
ATRは、相場のボラティリティ(価格変動の大きさ)を測るためのインジケーターとして非常に有用で、特にFX市場での利用が広がっています。
ATRの計算方法をマスターしよう
ATRの計算は簡単です。まず、指定された期間(通常は14日間)の「True Range(真のレンジ)」を求めます。真のレンジは、以下の3つの値の中で最大のものを使用します:
- 当日の高値と安値の差
- 前日の終値と当日の高値の差
- 前日の終値と当日の安値の差
これを計算したら、14日間の平均を取ることでATRが求められます。
具体的な数値は、取引プラットフォームのMT(MetaTrader)やEA(エキスパートアドバイザー)で自動的に計算されるので、初心者でも簡単に利用できます。
ATRを使った効果的な取引手法
ATRは、特にストップロス(損切り)の設定に役立ちます。
例えば、ATRの値を基に一定の範囲内でストップロスを設定することで、無駄な損失を避けることができます。
また、ATRを使ってボラティリティの高い通貨ペアを見つけることも可能です。
これにより、より利益を狙える取引機会を見つけることができます。
ATRのメリットとデメリットを知ろう
メリット:
- ボラティリティを正確に把握できるため、リスク管理がしやすい
- 他のインジケーターと組み合わせることで、効果的な取引戦略が立てられる
- 自動売買システム(EA)での利用が簡単
デメリット:
- 単独で使用すると、トレンドの方向性を見失う可能性がある
- 過去のデータに基づいて計算されるため、急激な市場変動に対応しづらい
ATRと相性抜群のインジケーター
ATRは、RSI(Relative Strength Index、相対力指数)やMACD(Moving Average Convergence Divergence、移動平均収束拡散手法)と組み合わせると効果的です。
RSIを使って相場の過熱感を測り、MACDでトレンドの方向性を確認しながら、ATRでボラティリティを考慮したエントリーポイントやストップロスを設定することで、より精度の高い取引が可能となります。
ATRを活用したFX取引のまとめ
ATRは、FX取引においてボラティリティを把握し、リスク管理を行うための強力なツールです。
J. Welles Wilderによって発案されたこのインジケーターは、計算がシンプルでありながら、効果的な取引手法を支える重要な役割を果たします。
他のインジケーターと組み合わせて使用することで、より精度の高い取引が可能となり、初心者でも簡単に取り入れることができます。